普段は夜組のおっちゃん。
たまたま夕方行った時にバッタを褒められ、幾つかの質問に応えアドバイスをしたところエラく気に入られた。
それ以来、成果が上がった時/質問がある時には私がいる午前中に来るようになった。
・何回も言ってるんだけど
ただこのおっちゃん、頑固だ。アドバイスをした時も「分かった」とは言うのだが直さない。たまに上手くいくとすぐ次にいこうとする。「しつこいくらい繰り返しましょう」と言うのだが泳ぎ急ぐ結果、すぐ元に戻ってしまう。
それでもおっちゃんなりに頑張っているのでアドバイスを続けていた。
そのおっちゃんがパッタリ姿を見せなくなった。最後に会ったのは確か2月。その時おっちゃんは風邪をひいていた。
「もしかして風邪こじらして死んじゃった?」なんてくだらないことを思いつつ泳いでいると今日ヒョッコリ姿を現した。
「いやー、体調崩しちゃってさ」風邪がもとではなかったようだが調子は悪かったらしい。
●頭と腕のタイミング
「今日はさ、聞きたいことがあってさ」
そうでしょうとも。じゃなきゃ今の時間に来ないよね。
「頭ってさ、腕と一緒に動くのかい?」
うーん、それも前に言ったよね。と思いつつもう一度ジェスチャー入りで説明した。
・頭は先行する
・その(頭を上げる)タイミングはプルで「気をつけ」の姿勢になった時
・腕は回し急がず、頭を下げてから。沈んだ身体が浮くまで待って、腕を始動させるくらいしっかり確実にリカバリーを行なう。
・ナットク
「別々かい?」とおっちゃんが言うので、「写真で見ると腕と頭が一緒に持ち上がって見えるけど、アレは一瞬を切り取っているからそう見えるんで、実際は頭を追いかけてきた腕が追い付いた瞬間だからああなるんですよ。あの姿勢がカッコ良いからみんなアレを目指しちゃうんでヘンなことになるんですね」と説明した。
「あーそっかー。アンタに言われると分かるんだよ」…前にも言ったよね。
「でもさ、そういう練習てさ、カッコ悪くないかな?」
おーっ、おっちゃんでも気にするんだ。
まるでオレが人目を気にしながら「本人が気にするほど周りは見てない」と言い聞かせながら練習していたのと同じではないか。
だから力強く言ってあげた。
「無理矢理手足をバタバタさせているほうがよっぽどもカッコ悪いですよ。実際ドリルにこれと同じ練習方法があって、ちゃんと出来ればほぼバタフライですから、気にしなくて良いですよ」
「そうだよなー。もっと早くからアンタに教えてもらっていたら良かったな」
そう言って練習しはじめた。
すると数分前よりずっと良くなっているではないですか。
おっちゃんは身をもって実感したものは素直に取り入れることができるようだ。
がんばれ、おっちゃん。